本は人と人をつなぐ 
~読書で幸せになる4つのステップ~

日本人の読書離れが問題視されていますが、最近はコロナによる在宅時間の増加に伴い読書する人も増えているようです。

ベストセラーとして話題になっている本のなかには、日本社会や日本人の問題の核心をついているものもあります。
多くの人が書籍を通して問題の核心を理解しながら、具体的な変化には繋がっていないように感じています。

どのようにして書籍を、個人や社会の変化に繋げることができるのか。
読書の秋に、書籍を活かす方法について考えたいと思います。

 

目次

好きだった絵本は何ですか?

皆さんは幼い頃に好きだった絵本を覚えていますか?
私が印象に残っているのは、『ぐりとぐら』と『ひとまねこざる(Curious George) 』です。

『ぐりとぐら』は幼稚園の劇でやったので、何度も読んだ記憶があります。
『ひとまねこざる』は親戚のお姉さんが読んでくれたので、いつも楽しみにしていました。

自分の子供にも、私の好きだった本や、本人たちが好きな本を選んでもらって本棚に置いています。
毎晩寝る前に子供二人がそれぞれ好きな本を選んで、親が読むようにしています。
自分たちで選ぶので、どうしてもお気に入りの絵本の頻度が高まります。

そういった時はただ読むのではなく、絵本を通して子供たちと対話することにしています。

  • どうして主人公は、泣いているのかな? 何が悲しいのかな?
  • (登場人物の)XXが困っているけど、あなたならどうしてもらいたいかな?
  • この絵本を聞いて、どんな気持ちになったかな?

6才の娘は問いかけに対して、自分で考えながら答えてくれます。
3才の息子からは逆に『なんで×2』と質問されて、なかなか先に進めなくなってしまうことが多いです。

子供たちには絵本をただ聞くだけでなく、そこから自分で考える習慣を身に着けてもらいたいと思っています。

 

本は夫婦のギャップも埋めてくれる

お互い惹かれるところがあり、一緒に人生を過ごしたいと感じたから、結婚して夫婦になった。
そんな夫婦でも、結局は赤の他人。
自分が相手のことを100%理解できているというのは過信であり、当然相手が自分のことをわかってくれているという誤解も、夫婦関係を悪化させる原因の一つでしょう。

それでも『お互いが理解し合うために努力する覚悟』を誓い合うことが、夫婦関係なのです。

夫婦がお互いを理解し合うために、本は大変役に立ちます。
夫婦それぞれが同じ本を読み、書籍と自己の意見との相違点を自分で考えます。
そして各自の考えを共有し、相手の考えを聞きながら共感できる部分と異なる部分を見つける。
それをまた相手に共有しながら、少しずつ理解を深め共通の価値観や考えを形成していく。

我が家では『7つの習慣』で上記のプロセスをやってみたところ、お互いに対する気遣いが高まり、夫婦円満に繋がりました。
また子育てについては、『子どもの教育(アドラー)』や『一分間パパ、一分間ママ(スペンサー・ジョンソン)』を取り上げて、育てたい子供像や子供への接し方について話し合いました。

 

社内の共通語作り

本は会社内(社員間、社員と経営者の間)において互いの考えを理解し合い、共通の価値観や方向性を合わせるのにも役立ちます。

PHP社が出版している『月刊PHP』を全社員のために定期購読して、定期的に部署やグループで読み合わせ会を行っている会社もたくさんあります。
勉強会ワークシートも準備されているので、始めやすいようです。

全社員で『7つの習慣』を読み、グループに分かれて定期的に読書会を行われている企業もあります。
開始時は読書習慣のない社員から悲鳴や不満が漏れていましたが、読書会を重ねるなかで一緒に働くだけでは気づかなかった同僚の考えや価値観に触れることが出来た、という感想が挙がってくるようになりました。

また書籍に出てくる言葉に対する理解が社員間で揃ったため、会社の共通語がいくつも生まれたという効果がありました。
共通語ができるとお互いの考えを理解するスピードも上がり、コミュニケーションが円滑になると共に効率も高まりました。

自社のビジネスや業務に近すぎる書籍では、つい正解を求めてしまったり、上司の言うことが正しいという思い込みが消せずに、お互いの考えを率直に共有し辛い傾向があります。
業務と関係がなく、また正解がないテーマの書籍をお勧めします。

 

書籍を活かす4つのステップ

ここまで家庭や会社における書籍を通した関係作りを見てきましたが、共通するステップがあります。

書籍で幸せになる4つのステップ
  1. 書籍を通して作者の考えや世界観、知らなかった新しい情報に触れ、視野を広げる
  2. 書籍を通して得た情報に対して、自分でも考えてみる
  3. 自分で考えたことを他者に説明し、他者の反応から更に自分の考えを深める
  4. 対話を継続しながら、共通する価値観や目標を形成する

この4つのステップは、ウィズ/ポストコロナにおいて求められるパラダイムシフトを促す4つの行動そのものでもあります。

求められるパラダイムシフトを促す4つの行動

同じテーマで記事に纏めていただいたことがありますので、興味のある方はこちらの記事も参考にしてください。
「新型コロナでリモートワーク」はDXでも何でもない 日経BP谷島宣之

 

仲良くなりたい人のお勧め本を読もう

紹介した4つのステップの前半(1と2)は自分で本を読んで考えればいいので、取り組みやすいです。
後半(3と4)は相手が必要なので、自分が読みたい書籍に興味を持ってくれそうな人を探すのは、少しハードルが高いかもしれません。

その場合は逆に他者から紹介された本を読んで、紹介してくれた人にあなたの感想をフィードバックしてみましょう。
あなたの周りにも、一人か二人は読書好きの人がいると思います。
仲の良い友人やこれから仲良くなりたい人に、お勧めの本を質問してもいいでしょう。

私は学生時代、好きな人ができるとお勧めの本を聞いていました。
お勧めの本にはその人の価値観が表れるので、本を通して相手の価値観に触れることができます。
そして本の感想や自分の考えを相手に伝えると、相手は喜んで時間を取って話をしてくれます。
更にその本が映画化されると、映画デートに誘う機会にもなりました。

 

もちろん恋愛対象だけでなく仕事の取引先や友人など、あらゆる関係を深めるために使える書籍活用法だと思っています。

そして何より、自分自身で考える機会にもなります。

 

書籍を通して我々一人一人が変わり、そしてそれが社会全体を変えていく。
大きな変化を生むにも、まずは我々一人一人の取り組みが必要です。

普段から読書をされている方も、読書の秋で久しぶりに読書をされた方も、読書を通して考えたことを他者と共有してみませんか。
新しい気づきや関係構築に、つながるかもしれません。