楽しむ覚悟 
~プロジェクト運営で大切にしていること~

見ていて心地の良いスポーツ

冬の北京オリンピックは、見ましたか?昨年夏の東京オリンピックに比べると種目数も少なく、注目度が低かったように感じました。それでもスノーボードで悲願の金メダルを獲得した平野歩夢選手や、オリンピック三連覇を目指すとともにクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)に挑戦したフィギュアスケートの羽生結弦選手の試合には注目が集まりました。

私が個人的に最も印象に残っているのが、女子カーリング ロコ・ソラーレの試合でした。試合の放送は夜が多かったのですが、一度見始めると最後まで見てしまうことが何度もありました。スノーボードやフィギアスケートのような躍動感はなく、地味なスポーツのようにも感じるのですが、ロコ・ソラーレの選手たちのやり取りや会話が心地よく、また選手一人一人の表情を見ていると癒しを与えてくれているようにも感じました。

なぜここまでカーリングに引き込まれているのか自分でもわからなかったのですが、選手のインタビューを取り上げた記事を見て、納得することが出来ました。

 

吉田知那美選手 『(苦しい中)楽しむには、たぶん覚悟がいる』

リードの吉田夕梨花、セカンドの鈴木夕湖の強力なスイーパーには数えきれないほど「ナイススイープ!」と言葉がかけられ、「ありがとう!」という感謝の言葉もチーム間で幾度となく飛び交った。うまくいかなかったときも、励ますような言葉や表情を決して絶やさない。(中略)

ただ、それは単に明るいからでも、ナチュラルなわけでもない。イギリスとの決勝戦を終えたあと、サードの吉田知那美は言った。
「苦しい舞台、大変な舞台で苦しそうな顔、辛そうな顔をするのは、誰にでもできると思うんですけれど、(苦しい中)楽しむには、たぶん覚悟がいる」

意識して編み出したポジティブなスタイルであることを示唆している。では、ポジティブであることが何を生み出すのか。やはり吉田が、昨年12月にこう語っていた。
「氷の上で不安に思ったら口に出して言ってみる。1人で抱え込まず、落ち込まず、というのがチームで大事なことだと、この4年間で思いました」

不安やプレッシャーを全員で共有し受け止めれば、軽減される。共有すれば、お互いの状態が分かりプレーにも生かされる。その意識の土台には、常にお互いを肯定する精神が根付いている。だからこそ、試合中どんな状況であろうと、ポジティブであることを貫く。

吉田知那美が語った“笑顔を絶やさない理由”「楽しむには覚悟がいる」…なぜ北京五輪でカーリング女子日本代表は輝いたのか?

苦しい時だからこそ、意識してポジティブに楽しむ姿勢を保つ。その裏にはチームメンバが『常にお互いを肯定する精神』が根付いている。オリンピックの舞台でお互いに惜しみない感謝や賞賛をかけあう姿を見ていると、理想のチーム像を体現しているように感じ、引き込まれたのだと感じました。

 

プロジェクトにおいて大切にしていること

私がプロジェクトに関わる際に、大切にしていることがあります。それはプロジェクトの中心である自分たちが、『常に楽しむ』ということです。これは私が駆け出しのコンサルタントだった時、クライアント側のプロジェクトリーダーに言われたことがきっかけでした。

当時知識も経験もないなかプロジェクトに参加し、毎日悩んでいた私を見かねたクライアントの責任者が声をかけてくれました。

「変革プロジェクトは忙しいし、問題も毎日出てくる。でもプロジェクトの中心である自分たちが楽しまないと、変革対象である周りを巻き込むことはできない。苦しくても、まずは笑顔。そうしているうちに、本当に楽しくなってくるよ。辛そうにしているプロジェクトには誰も近寄りたいと思わないし、それでは周りを巻き込んでの変革は出来ないよ。」と、体験談を交えて話をしてくれました。

当時の私は、『これだけの難題(硬直したクライアントの組織を変革する)を目の当たりにして、どうやって楽しむんだ』と理解できなかったのですが、プロジェクトを一緒に進めながら笑顔で様々な人を巻き込む姿を見て、言葉の意味を理解することが出来たような気がしました。

それ以来プロジェクトに参加する際には、『プロジェクトを楽しむ』ことを大切にしています。またプロジェクトを皆で楽しむため、プロジェクトの愛称やロゴを作ることを提案しています。最初は怪訝な顔をされるベテランも居ますが、まずは笑顔で押し切る。そうすると最終的には、皆さん賛同してくれます。ベテランには飲み会の方が、楽しむことの共感を得やすいかもしれないです。

世の中には数多くのプロジェクトが存在し、多くの人が関わっています。一般的にプロジェクトは限られた期限のなかで成果が求められ、大変なことが多い。そんな状況だからこそ、楽しむことを意識してみて下さい。またお互い良いアイディアに対しては素直に称賛し、助けてもらった時には感謝を表現する。そういったなかから、チームの心理的安全性も生まれてくるのではないでしょうか。

プロジェクトに限らず職場の組織(部門、課)にも、共通することだと思います。一度チームメンバで集まってロコ・ソラーレの試合を見ながら、自分たちが目指したいチームについて話してみませんか。