お正月に考えたこと 
~角川武蔵野ミュージアム訪問~

お正月はどう過ごしましたか?

皆さんお正月はどのように過ごされたでしょうか?紅白歌合戦などテレビの特番、お節料理にお雑煮、お年玉に年賀状、凧揚げにコマ回し、初詣、福袋にバーゲンなど、お正月から連想される楽しいものはたくさんありますね。

一方コロナウイルスの収束目途はたっておらず、帰省を諦めた方も少なくないと思います。私も去年に引き続き、帰省はやめて東京の自宅でおとなしく過ごしました。子供たちに少しでもお正月という風習を感じてもらいたいと、凧揚げやお年玉、お雑煮などを楽しみました。

大晦日には年越しそばを食べたのですが、子供たちから『なんでおそばを食べるのか』という質問を受けました。ネットで調べると諸説色々と出てきたのですが、わかりやすい『そばは切れやすいので、一年の苦労や悪いこと(災い)を断ち切って新しい年を迎えるため』という説明を伝えました。また『そばは細く伸びるので、寿命を延ばす願いを込めて』という説も、中国で誕生日に食べる長寿面と同じなので、一緒に伝えました。

 

角川武蔵野ミュージアムへ

お正月の三が日を過ぎて人出が減ってきたタイミングで初詣と文化に触れるイベントとして、角川武蔵野ミュージアムに子供を連れて出かけました。角川武蔵野ミュージアムは、2020年11月にグランドオープンした埼玉県所沢市にある施設です。建築家の隈研吾氏がデザインした、石を繋ぎ合わせた岩のような独特な建物でも有名です。

このミュージアムは図書館と美術館と博物館を融合させることを目指して、館長に就任した松岡正剛氏が中心となり多くの方が関わって作り上げられたそうです。

大量の書籍が収納されたエリアや漫画や絵本の図書館、武蔵野地域の歴史や文化に触れられるエリア、浮世絵をプロジェクターで映し映像と音楽で感じられる展示、隈研吾氏がデザインしたおしゃれな神社まであり、丸一日過ごすことができました。

 

一冊の本がたくさんの本を連れてくる

岩のような建物と並んで有名なのが、本棚劇場と呼ばれる高さ8メートルもある本棚からなるホールです。2020年のNHK紅白歌合戦で、YOASOBIが『夜に駆ける』を歌った場所としても有名になりました。

本棚劇場

本棚劇場では定期的にプロジェクションマッピングが行われており、子供たちも楽しめる仕掛けがありました。

プロジェクションマッピング

またこの図書館エリアで興味を惹かれたのが、本を整理する考え方とフレームワークです。一般的な図書館で使われている分け方ではなく、松岡氏が中心となり独自の仕分けをされたそうです。

本の分類に使われている9つのテーマ
一冊の本が繋がり、他の本を連れてくるという考え方

違い棚を作ったんです。これは鍵と鍵穴でできているんです。本の一冊が鍵になって、もう一つ別の鍵穴をあける。そういうふうにもなっているんです。この角川武蔵野ミュージアムの全体のコンセプトにassociationを設定しました。これは組み合わせとか仲間たちという意味であるとともに、連想をするという意味もあるんですね。だからこの本棚はすべて一冊の本からいくつもの本に。(中略)
複合的なアイデンティティを皆が持つようになった。本だって一つだけのアドレスが欲しいと思っていない。(中略)このなか(本棚)には本当にいろんな発見があると思いますから、association連想を楽しんで欲しいと思っています。

松岡正剛によるエディットタウンと本棚劇場語り

松岡氏が伝えたいことを正確には理解できていませんが、一冊の本を読むことを通して他のたくさんの本に繋がる。本はあくまでも情報でしかないのですが、読者である我々が一冊の本の情報を理解し、そこから連想させて他の本に関連付ける。繋がりが広がり重なることにより新しい物語(ストーリー)が生まれ、それが人と人を繋ぐ。本の本当の価値って本単体ではなく、繋がりや関係性にあるのだなと感じました。

一冊の本から連想させて関連づけることは、絶対的な正解を導くことが求められてきた我々現代人にとっては難しさがあります。松岡氏が提供している分類やテーマは、そんな我々に連想を始めるヒントを提供しているのではと想像しました。

またこれは本に限らず、一人の人から多くの人へ繋がったり、一つの仕事から別の多くの仕事やテーマに繋がっていくなど、連想の対象は我々の身の回りにある全てのことだと思います。私の場合は連想を超えて、妄想になってしまうことが多いのですが。

 

伝統を引き継ぐには

一階にはグランドギャラリーと呼ばれる広いホールがあり、期間毎に特徴のあるイベントや展示が行われています。私が訪れた時は『浮世絵劇場』が行われており、浮世絵をテーマにした映像がたくさんのプロジェクターから床や壁に映されていました。

浮世絵という江戸時代の日本で花開いた文化が、ダニーローズ・スタジオというフランスのパリをベースに活動するアーティスト集団を介して、魅力的な作品として現代の我々を楽しませてくれています。また浮世絵の製作工程を紹介したり、現代作品としてアニメやアーティストと浮世絵がコラボした作品なども紹介されていました。

こういった内容を見ていると、文化というものはその時代に応じて変化が加えられながら引き継がれていくのだなと実感しました。昔からあるものをそのままの形で引き継ぐことも大切なのですが、その時代の人が興味を持たないとそこで途絶えてしまう可能性もある。残すものを守りながら、その時代を上手く反映させていくことが大切なのでしょう。

 

伊勢神宮参りと熊野大社参りが同時にできる場所!?

角川武蔵野ミュージアムの隣には、武蔵野坐令和神社も新しく作られました。この神社は隈研吾氏がデザインした美しい建物も有名ですが、私が驚いたのは御祭神です。

御祭神
主祭神:天照大御神(あまてらすおおみかみ)
相殿神:素戔嗚命(すさのをのみこと)

武蔵野坐令和神社 武蔵野坐令和神社ホームページより

伊勢神宮の天照大御神と、熊野大社の素戔嗚命が祭られているのです。東京からお伊勢参りは大変ですし、熊野大社のある島根県はもっと遠くです。コロナで旅行も難しい今、近くでお参りをすることができるのはありがたいですね。我が家の2022年の初詣は、こちらの神社にさせていただきました。

天照大御神と素戔嗚命は日本の歴史の始まりに登場しますし、日本の歴史や文化にもつながる興味深いテーマでもあります。どのように日本の歴史や文化を子供たちに伝えていくかは難しいですが、実際に訪れた場所と関連づけながら話すことから始めるようにしています。

 

お正月とは?

松岡正剛氏が書かれている館長通信には、お正月の意味が書かれていましたので、ご興味がある方はこちらにも目を通してみてください。

今回は私の旅行記のような内容になってしまいましたが、観光や旅行など日常の体験から考えを深めるイメージを持つ参考になれれば嬉しいです。

今年も引き続き、よろしくお願いいたします。