仕事を通じて幸せになろう 
~ラッセル『幸福論』~

『皆さんは幸せですか? ~幸福は自分の気持ち次第!?~』というブログで、幸福について取りあげました。

私の勝手な幸福論ばかりを語っても参考にならないので、本日は三大幸福論(ヒルティ、アラン、ラッセル)の一つであるバートランド・ラッセルの『幸福論』を取り上げます。

 

幸福論に関する書籍

 

目次

まずは不幸のモトを取り除こう

ラッセルは幸福になるためには、不幸の原因を取り除くことが大切だと言っています。
幸福論の第一部で不幸の原因とその解決策を、自らの経験を交え説明しています。

ラッセルが考える不幸の原因とその解決策について、100分de名著の解説を中心に紹介します。

不幸の原因として「自己没頭」を揚げています。自分の内にこもってしまうことです。
そして自己没頭の三つタイプとして、「罪びと」「ナルシシスト」「誇大妄想狂」を挙げています。(省略)

罪びととは、罪の意識に取りつかれた人のことです。(省略)
ナルシシストとは、自分自身を賛美し、人からも賛美されたいと願う習慣を持つ人です。(省略)
誇大妄想狂とは、魅力的であることよりも権力を持つことを望み、(省略)

100分de名著ラッセル『幸福論』 小川仁志 

また不幸の原因を細かく分析し、8つの具体的な原因を挙げています。

不幸の原因と解決策

ラッセルが挙げた不幸の原因は、どれも自分の捉え方や行動次第で解決できると述べています。

考え方を変えるというのは脳の使い方(回路)を変える必要があるので、簡単ではありません。
ただ自分が意識して訓練することにより達成できるので、自分が主体になれます。

興味を持たれた方は、本書を手に取ってみてください。

 

幸福を掴むには、外に目を向けろ

第二部では、幸福を獲得するための方法について述べられています。

幸福の秘訣は、(省略)あなたの興味をできるかぎり幅広くせよ。
そして、あなたの興味を惹く人や物に対する反応を敵意あるものではなく、できるかぎり友好的なものにせよ。

ラッセル 幸福論

 

私は幅広いことに興味を持ち熱意を注いで取り組んでみることの意義は、自己を形成することにあると感じています。

仕事でも勉強でも趣味でも、経験してみないことには自分の興味がどこにあるのかわかりません。
色々な選択肢を自分で見つけ、挑戦してみるなかから自分で選んでいく。
自分の価値観を形成していくためにも、関心を外に向けることは大切です。

  

自分の人生を統合して考える

幸福になる具体的な方法として、『熱意』、『愛情』、『家庭』、『仕事』、『私心のない興味』、『努力とあきらめ』を挙げています。

私が気に入っている文章が、『第十四章 仕事』にあります。

人生を一つの全体として眺める習慣は、知恵と真の道徳のどちらにとっても必要不可欠な部分であり、教育において促進されるべき事項のひとつである。
首尾一貫した目的だけでは、人生を幸福にするのに十分ではない。
しかし、それは、幸福な人生のほぼ必須の条件である。
そして、首尾一貫した目的は、主に、仕事において具現化されるのである。

ラッセル 幸福論

この文章は、幸せな人生を送るのに大切なポイントを示しています。
ワークライフバランスという掛け声の下、仕事とプライベートを分けて(対立させて)バランスさせることが正しいという考え方が一般的になっていると感じています。

ラッセルが『人生を一つの全体』として捉えることを強調しているのは、仕事もプライベートも繋げて考えることが大切だと言いたいからなのではないでしょうか。
そして『首尾一貫した(人生の)目的』が、仕事とプライベートを繋げる役割(拠り所)を担うのだと思います。

首尾一貫した人生の目的を軸に、人生を一つの全体として捉えたイメージ図

  

仕事で幸福を感じるために

私の人生の目標は、『組織と個人の自律を通して、活き活きと自分らしく働き暮らせる社会の実現』です。
※ご興味のある方は、筆者紹介をご覧ください

企業に対して様々な改革活動の支援をしていますが、その目的は自律型組織への転換や社員の自律です。
大人になってから読書が趣味になったのですが、読書を通して自分の確立した考えを持つ作者たちの考えに触れ、自律の意義や自律に向けて必要なことを考える機会になっています。
そして仕事や読書、友人たちとの意見交換などを通して考えたことを、子育てに活用(実験?)したりもしています。

仕事も趣味も家庭も分けずに一つの人生として捉えると、人生で起こる全てのイベントが連続した物語のようになってきます。
また全てのイベントが、インプット(情報や知識の収集)とアウトプット(活用、議論)の機会になります。

『好きを仕事にすること』が仕事で幸福を感じる唯一の方法だと考えると、実現は難しくなります。
誰もが努力だけで、プロスポーツ選手や芸術家になれるわけではありません。

『仕事を人生の目的と紐づけて考えること』は、誰にでもできることではないでしょうか。
私は仕事に対するモチベーションを持ち続けるために、人生の目的と仕事を紐づけることを意識しています。
モチベーションだけではなく、仕事に対する楽しさやわくわく感、充実感なども湧いてきます。

 

それではどうやって、人生の目的を設定するか。
人生の目的は人それぞれですので、できるだけ選り好みせずに幅広く興味を持ってやってみる。
そのなかから自分の感じたことを記録していくと、振り返った時に自分の人生の目的が少しずつ見えてくるはずです。

自分の人生の目的を明確にしながら、幸せな人生を実現しましょう。