夏休み。子供たちは待ちに待った解放感に浸り、ゲームやSNSに夢中になっているかもしれません。宿題もそっちのけで、、、 そんな姿を見て、心配になる親御さんも多いのではないでしょうか。我が家にも小中学生の子供がいるので目を背けられない問題です。
でもちょっと待ってください! そのゲームやSNS、実は最先端のデジタル技術や急激な変貌を遂げようとする情報化社会の注意点を探求する絶好の機会なのです。ゲームやSNSの世界をちょっと違う視点から子供たちと一緒に見てみると、彼らが興味を持つ夏休みの自由研究のヒントが隠されているかもしれません。
目次
1.デジタルツインって何だろう?
2.シミュラークルって一体何?
3.デジタルツインとシミュラークル、子供たちにどんな影響があるの?
4.ゲームやSNSから自由研究のテーマを見つけよう!
5.デジタルの世界をもっと楽しもう!
6.次回予告
1.デジタルツインって何だろう?
デジタルツインって聞いたことありますか? デジタルツインは、「現実世界のモノや場所をそっくりそのままデジタルの世界にコピーしたもの」です。様々なシミュレーションや分析を可能にし、業務効率化やコスト削減、顧客体験向上など、多くのメリットをもたらします。製造業、建設業、医療分野をはじめ、導入実績があるので聞いたことがある人もいるでしょう。
最近のゲームは妙にリアルになっていませんか?ゲームの中の街の風景、キャラクターのしぐさ、乗り物の動作、社会問題、、、実は、ゲームの世界はそのデジタルツインで溢れています。
他にも、
- マインクラフト: ブロックを積み上げて建物や街を作れるゲームですが、中には現実の都市を再現したワールドもあります。
- あつまれ どうぶつの森: プレイヤーが暮らす島は、現実の島と同様に、季節や天候の変化があり、環境問題を体感できるエリアもあります。
- レースゲーム: 登場する車は実在の車をモデルにしており、走行性能も忠実に再現されています。
ゲーム開発者も、このデジタルツインを使って、ゲームの自然なバランス調整やバグの修正などを行っているのです。
2.シミュラークルって一体何?
もう一つ、ちょっと難しい言葉ですが、「シミュラークル」もゲームやSNSと深く関わっています。シミュラークルとは、簡単に言うと「オリジナルそっくりだけど、実はオリジナルじゃないもの」のことです。現代社会におけるオリジナルとコピーの関係性を批判的に分析するもので、特にメディアや広告をはじめとした情報に踊らさせることがないように、コピーがオリジナルに対してどのように取って代わるかという問いを探求しようとする概念です。
SNSやゲームにおいても、シミュラークルの考え方は見て取ることができます。
例えば、
- SNSのプロフィール: 自分の好きな写真や趣味、名言などを載せて、自分を表現しますよね。でも、それは本当のあなたの一部を切り取ったもの、あるいは理想の自分を表現したものですが、本当のあなたそのものではありません。
- ゲームのキャラクター: 自分の分身となるキャラクターを作り、ゲームの世界で冒険します。でも、そのキャラクターはあなたの理想の姿かもしれませんし、全く違う性格かもしれません。
3.デジタルツインとシミュラークルって、子供たちにどんな影響があるの?
SNSやゲームを通じて、デジタルツインとシミュラークルは子供たちの認識、行動、自己形成に大きな影響を与えています。
デジタルツインは、現実世界の複雑なシステムや構造を理解するための強力なツールとして機能します。子供たちはゲームやシミュレーション、SNS上でのコミュニケーション等を通じて、現実の問題認識・解決の方法や創造的な思考を養うことができます。
一方、シミュラークルは、子供たちは現実世界での自己とデジタル空間(虚構)での自己とを区別するのが難しくなり、成長期の自己形成に影響を与えることがあります。具体的には、自己イメージの歪み、現実逃避、集団同調、時間の浪費、サイバーいじめなどによる影響が懸念されています。しかし、現実の自己を理解し、デジタル空間との付き合い方を正しく学ぶことで、デジタル空間を新たな自己表現や創造活動に挑戦する場にすることができるのです。SNSやゲームと適切な距離を保ちつつ現実と虚構のバランスを取る。子供たちがこれからのデジタル社会において外部評価に過度に依存しないで自己形成を見届ける事は、親として重要なことだと思うのです。
4.ゲームやSNSから自由研究のテーマを見つけよう!
ゲームやSNSの中に隠れているデジタルツインやシミュラークル。これらをテーマに自由研究をしてみませんか?
例えば、
- ゲームの中で環境問題について考えてみる:
・ マインクラフトで、再生可能エネルギーを使って街を作り、どれくらい電力供給するのか検証してみる。
・ あつまれ どうぶつの森で、島の環境を守るためにできる事を考える。絶滅危惧種の保全や生態系のバランスを考える。など、環境問題をシミュレーションしてみる。 - SNSのプロフィールと本当の自分を比べてみる:
自分のプロフィールは本当の自分を表現できているか? SNS上の自分と実際の自分の違いはどこにあるのか? なぜそのような違いができたのかなど、自分自身について深く考え言葉で表してみる。
5.デジタルの世界をもっと楽しもう!
今回のブログでは、デジタル社会で欠かせない「デジタルツイン」と「シミュラークル」の考え方に触れながら、ゲームやSNSを自由研究の題材にするアイデアをご紹介しました。ゲームやSNSは、単に楽しむだけでありません。デジタルの世界を深く理解し、適切に活用するための学びの宝庫です。
この夏、お子さんと一緒に、ゲームやSNSの世界をもっと深く探求してみませんか? きっと、ワクワクする発見や学びが待っています。そして、その経験は、夏休みの自由研究としてだけでなく、子どもたちの未来を切り拓く貴重な一歩となるはずです。
6.次回予告
シミュラークルが提唱された1980年代は、ポストモダンの時代であり、大量生産・大量消費の時代でした。当時問題となったのは、主にメディアや広告によって作られたイメージや記号が、現実を上書きし、人々の認識や価値観を支配するようになったことでした。シミュラークルは、このようなメディア社会における問題点を指摘するために提唱された概念と言えるでしょう。
現代においては、コンピュータやインターネットの普及により、デジタル技術がさらに発展し、シミュラークルの概念はますます重要性を増しています。デジタル空間では、容易に情報のコピーや改変が可能となり、オリジナルとの境界線がますます曖昧になっています。このため、現代社会におけるシミュラークルの問題は、1980年代よりもさらに深刻化していると言えるでしょう。
次回は、デジタル時代における情報価値の変化や真偽を見極める方法について掘り下げます。今の情報源、本当に信頼していますか?次回のブログでは、シミュラークルの視点から、あなたが知るべき情報リテラシーの重要なポイントをご紹介します。情報化社会で生き抜くための知識や心構えを、ぜひ一緒に考えていければと思います。