パラダイムシフトに備えよう
~出発点は個の確立~

誰もいない大学のキャンパス

遠隔教育コロナで導入加速へ 学校側に課題、7割意向なし
時事ドットコム2020年04月06日07時12分

政府は、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、インターネットを使った遠隔教育の導入を加速させる方針だ。3日の未来投資会議では、家庭学習の環境整備のため安倍晋三首相がノート型パソコン(PC)など情報端末を2023年度までに生徒1人に1台配備する計画の前倒しを表明。ただ、昨年の全国自治体調査で7割強は「実施する意向はない」と回答し、従来慎重だった学校側の体制整備が急務となる(以下略)。

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本当に必要とされる教育


遠隔教育はツール(手段)の問題です。重要なのはパラダイムシフト後(ウィルス後)の世界では、新しい教育が必要となるということでしょう。ほぼ全ての問題は結局は一人ひとりの倫理観にゆだねられる。管理社会から自己統治(自律)にシフトする。全体の中での自己の在り方を模索するような能力が必要となる。そういった教育はいかにあるべきかを議論してもらいたいですね。世界観(古い世界観とこれからの世界観)も人生観も死生観も持ち合わせていない、一つの専門知識しか持っていない有識者がテレビで毎日のように解説したり、コロナ以前から教師や官僚として成り立っていることが危険なことなのです。テレワークになろうが遠隔教育になろうが、「VISION(観)」のない「知」の積み込みでは失敗の繰り返しになるでしょう。

短期的な問題ではない

今回のウィルスの件で世界は、つまり人類は結束することができるか? 連帯することができるか? 地球の住民としての運命共同体になれるか? それとも500年くらい待たないとジョン・レノンのイマジンの世界にはならないのか? おそらく日本の教育に必要な視点・視野・視座ってそういったことなのだろうと思います。要するに、教育の問題とはテレビ会議のようなツールの問題ではなく個人の問題でもなく、大げさにいうと地球の運命にかかわることで、少なくとも自分の属する国家の問題なのです。

ウイルス後の世界 ~ パラダイムシフト

「不条理などの危機的状況を乗り越えるには反抗による連帯が必要である」と言ったのはカミュです。反抗することなく戦後民主主義教育で従順(submissive)に大人になってしまった現代の日本人は、危機的状況で連帯できず足の引っ張り合いに終始する。それは政治家も知識人もメディアも全て同じ、、、日本人を辞めたくなってしまいます。また、「志」が自分が働くモチベーション(動機づけ)になっていないから、最終的に自分が責任を取る考えなんてない。結果、誰も責任をとらずに時間が経ってしまいます。

ウィルス後の世界は「関係」の集合体になると思います。コンピュータソフトウェアでいうと、データー・ベースが昔の階層構造から今の関係データー・ベースに変わったことによく似ています。権威や覇権がない、つまり「中心」のない世界になるのではないでしょうか? それは脱グローバル化でもあります。しかし、世界が全くバラバラになるのではなく、普遍的から相対的な関係になると思います。是々非々で手を握り合う。それが実行可能な前提は自己があることで、アイデンティティがしっかりしていることです。インターブリッジの能力(コミュニケーション、バランス感覚 等)が重要となる。価値を共有する部分で他者と共に将来をcon-figure する(一緒に姿作る)。自己がないと理解共同体は実現できません。将来をconfigure することはできないのです(国家でも企業でも個人でも同じ)。

これを良い機会として現行の義務教育を見直し、これからの世界に対応できる教育をしてはどうでしょうか?