AI時代でも騙されない!情報リテラシーの3つのポイント

毎日、世界中で5億ツイート、50億いいね!、3億5千万枚の写真がInstagramに投稿されています。膨大な情報が洪水のように押し寄せる現代、私たちは一体どれだけの「真実」を見極めることができるでしょうか? AI技術の発達により、本物と見分けがつかない偽動画やフェイクニュースが氾濫する今、私たちはかつてないほど「情報」に翻弄されています。

目次

  1. 「それ、ホントにホント?」SNS時代の落とし穴
  2. 情報洪水と玉石混淆:AIが加速させる情報の氾濫
  3. シミュラークルが突きつける現代社会への課題:境界線の崩壊がもたらすもの
  4. 情報に惑わされないための3つのポイント5.羅針盤を手に、デジタルの海を航海しよう

1.「それ、ホントにホント?」SNS時代の落とし穴

前回のブログでは、ゲームやSNSの世界に潜む「デジタルツイン」と「シミュラークル」についてお話しました。ゲーム内のリアルな街並み、SNSのキラキラしたプロフィール…。これらを通して、私たちは現実と見分けがつかないほどの精巧なコピーの世界に触れています。

一度立ち止まって考えてみましょう。私たちは、目で見たものや耳で聞いたことを、どれほど確信を持って信じることができるでしょうか?

2.情報洪水と玉石混淆:AIが加速させる情報の氾濫

インターネットの登場で状況は一変します。誰もが情報発信できる時代になり、玉石混淆の情報が溢れかえるようになりました。さらに、AI技術の進化は、この状況に拍車をかけます。ディープフェイク動画やAIが書いた文章など、高度な偽情報が簡単に作れるようになった今、何が真実で何が嘘なのか、見極めるのがますます難しくなっています。例えば、最近では、実在しない人物のインタビュー記事や、政治家の発言を捏造した動画などがSNSで拡散され、社会問題となりました。落ち着いて状況を整理すればわかる情報でも、情報過多状態に陥ると私たち人間の認知能力や意思決定に悪影響を与えるということが証明されています。

岸田首相の偽画像などがSNSで相次ぎ拡散 注意を呼びかけ | NHK | フェイク対策

3. シミュラークルが突きつける現代社会への課題:境界線の崩壊がもたらすもの

前回登場した「シミュラークル」の概念を思い出してみましょう。シミュラークルとは、オリジナルとコピーの境界線が曖昧になり、もはやどちらが本物か分からなくなってしまう状態のことです。

現代のデジタル社会において、このシミュラークルは、私たちのコミュニケーションを変え、認識や価値観を大きく揺るがし、社会、教育、文化に深刻な問題を引き起こす可能性があるのです。

具体的に考えてみましょう。デジタル技術の進歩により、あらゆるものがデジタル化され、本物のコピーが容易に作成できるようになりました。結果として、本物と偽物の境界線が曖昧になり、何が真実で何が虚構なのか判別できないシミュラークルが溢れる世界が生まれています。

コミュニケーションの変化:

 デジタル空間の中で、人々はシミュラークルを通してコミュニケーションを行う機会が増えました。リアルな社会の制約に捕らわれない自由で創造的な表現が可能になる一方で、非言語情報が伝わりにくいため、誤解や感情のすれ違いが生じやすくなっています。また、表面的な交流に終始しやすく、深い人間関係を築く上でのハードルが高くなっている可能性も指摘されています。

社会への影響:

 シミュラークルに囲まれた生活は、現実とのつながりを薄め、社会問題や現実の出来事について深く考える機会を奪う恐れがあります。特に事実と異なる情報が広がることで、重要な社会的意思決定に誤りが生じ、民主主義の基盤が揺らぐ可能性があります。例えば、選挙において、真偽不明な情報や歪められたイメージに影響され、正しい判断ができないまま投票する人が増えれば、選挙結果が歪められ、民主主義が機能不全に陥る危険性があります。このような事態が日本でも起こるかもしれません。

教育への影響:

 日本の教育は、いまだに受動的な知識の詰め込みが中心です。しかし、デジタル社会では膨大な情報が溢れ、真偽を見極める情報リテラシーの育成が不可欠です。これが十分に行われないと、自ら考える力を欠き、権力や社会の仕組みに盲目的に従う人々が増えてしまう恐れがあります。主体性や批判的思考力を持たないままでは、問題に直面してもそれに目を背け、現状を受け入れるだけの停滞した社会が形成されてしまうでしょう。

文化面での影響:

 デジタル技術の進化により、芸術作品や音楽、映像が簡単に複製・改変され、オリジナルの価値や著作権の概念が揺らいでいます。さらに、AIによって生成されたコンテンツの品質が向上する中で、私たちは「創造性」や「オリジナル」の意味を再考する必要に迫られています。例えば、AIが描いた絵画がコンテストで入賞した場合、その著作権は誰に帰属するべきでしょうか?AIの開発者なのか、AI自身なのか、それとも指示を与えた人間なのか。こうした問題は、従来の著作権制度では対応しきれない新たな課題を浮き彫りにしています。このように、文化の定義や価値そのものが見直される時代が到来しているのです。

シミュラークルが問いかけるもの:

 シミュラークルは、ホンモノとニセモノの境界線が曖昧になった新たな世界の中で、私たちに「何が本質か」「何が価値あるものなのか」を問い直す機会を与えてくれます。この問いと向き合い、情報の価値を再構築し、社会への関わり方、そして新たな価値観や倫理観を創造していくことが、これからの社会を生きる上で重要になるでしょう。

4.情報に惑わされないための3つのポイント

情報過多な現代社会において、情報に翻弄されないためには、「情報リテラシー」が欠かせません。情報リテラシーとは、情報を主体的に収集・評価・活用する能力のことです。情報をそのまま受け入れるのではなく、真偽を見極め、価値のある情報を選択する能力が重要です。

情報リテラシーを高めるには、以下の3つのポイントを意識することが重要です。

主体的な情報収集

  • ただ受動的に情報を受け取るのではなく、目的や意思を持って能動的に情報を集めに行くことが大切です。
  • 事前に仮説を立て、それを検証するための情報を探しに行くことで、情報を取捨選択する判断軸が生まれ、偽情報に惑わされにくくなります。

②情報源の信頼性確認

  • 情報の発信元は誰か、情報の裏付けとなる根拠はあるか、複数の情報源と比較して矛盾はないかなどを確認しましょう。
  • URLのドメインやサイトのデザイン、運営者の情報なども、情報源の信頼性を判断する手がかりになります。
  • 一つの情報に依存せず、多角的な視点から情報を集めることが重要です。

③リアルな体験の重視

  • デジタル空間での情報だけでなく、現実世界での体験も大切にすることで、バランスの取れた情報収集ができます。
  • 自然や芸術に触れ、五感をフル活用して世界を体験することは、情報に惑わされない自分自身の価値観を形成するために重要です。

これらのスキルを意識的に実践することで、情報に振り回されることなく、自分自身の考えで判断できるようになるでしょう。情報リテラシーは、現代社会を生き抜くための必須スキルと言えるでしょう。

6.羅針盤を手に、デジタルの海を航海しよう

デジタル技術の進化は、私たちの生活を豊かにしながらも、同時に情報の氾濫や偽情報といった新たな課題も生み出しています。これらの課題を乗り越える鍵は、私たち一人ひとりが情報リテラシーを身につけ、主体的に情報と向き合うことです。そうすることで、私たちはデジタル時代の海を自信を持って航海し、より良い未来を築くことができるはずです。

情報化社会を生き抜くための羅針盤を手にし、それを次世代にも継承し、共により良い未来を切り拓いていきましょう。

AI技術の進化は、情報社会における新たな可能性も秘めています。その可能性を最大限に活かし、より豊かな社会を共に創造していきましょう。