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受験競争を回避する方法は、早期の受験参加!?
以前ブログ『過保護が日本を滅ぼす!?~幸せに向け『人間関係』を見直そう~』で、親の過保護が子供へもたらす影響について書きました。
多くの親は子供の個性を育む教育は大切だと思いながらも、なかなか受験レースから抜け出せない状況に陥っているのだと思います。
自分の子供だけ受験競争から抜けてしまうと、『子供が将来不幸になるのでは』と心配する親心ですね。
受験競争は大学や高校受験だけでなく、中学受験も一般的になってきています。
さらに小学校受験や幼稚園受験と開始時期が早まり、子供への負荷も大きくなっています。
一貫校(中高一貫校、大学付属校等)に入ればその先の受験競争を回避できるので、子供の興味に応じて自由に使える時間が確保できるようになる。
受験レースから抜け出す方法として、受験の早期化が引き起こされているという矛盾もあるのでしょう。
様々なものに触れて自らの興味を広げる大切な時期に、詰め込み式の勉強ばかりに時間がとられることは、人格形成にも大きな影響がありそうです。
日本よりも大きな負担がのしかかる中国の子供と親
日本よりも過酷な状況に置かれているのが、中国の子供たちです。
『高考(Gaokao)』と呼ばれている全国統一の大学入学試験に向け、全国の子供たちが猛勉強をします。
少しでも偏差値の高い有名大学に入ることが、幸せな将来に繋がると信じられています。
親の子供に対する教育熱は非常に高く、北京や上海の友人たちも幼稚園児の子供を毎日習い事へ通わせています。
ピアノとその他の楽器、プールや体操、英語は基本として、そのうえ算数などの塾も加わる。
習い事漬けの生活が、幼稚園から大学に入学するまで15年以上続くことになる。
親は莫大な教育費をかけて、子供に最高の環境を整えてあげたいと考える。
需要と供給のバランスにより、教育関連のサービス費用は高額になっています。
高給取りと言われている外資系金融機関に勤める友人たちでさえも、子供の教育費を考えると頭が痛いと言っています。
政府主導で学力偏重を是正しようとする中国
そんな中国の教育に関して、興味深いニュースを目にしました。
7月24日、中国共産党中央弁公庁と国務院が「全ての地域で義務教育段階の生徒の宿題負担を軽減、学外教育の負担を軽減する」という通知(中国語の略称:双減文件)を発表した。
「宿題負担を軽減」に関しては、以下のような内容が記されている。
1.保護者による宿題の指導やチェック作業を禁止する。
2.小学校第1~2学年に宿題を出すことを禁止。宿題の量は第3〜6学年は平均1時間以内、中学生は90分以内。
3.就寝時間を厳守。学校と保護者は、宿題の完成を促す。また、家事やスポーツ、読書などを奨励する。(中略)二つ目の「学外教育負担の軽減」については、
中国が「ゆとり教育」に突き進むワケ、塾禁止・宿題軽減に不安も続出
1.全国公立校の在職の教師は校外で有償での学習指導を厳禁する。見つかった場合は、教師の資格を剥奪する。
2.小中学生対象の学習塾の新規開設を認めない。既存の塾は非営利団体として登記し直す。その上、営利目的の活動を行ってはいけない。(中略)
3.週末や祝日、夏、冬休みに塾の学習を行ってはいけない。就学前の児童を対象にする学習類(英語も含む)の塾を厳禁する。 (省略)
国が保護者や子供の負担を強制的に減らすために、『宿題』と『塾』を強制的に減らす法律を出したのだ。
受験競争というチキンレースの過熱を抑えるために、国が強制的にルールを変えようとしている。
記事でも懸念されているが、『上(政府)に政策があれば、下(民衆)に対策あり』と言われている通り、この政策だけで親の教育熱を抑えることは難しいでしょう。
どうやって日本で子供の教育を変えていくか?
受験競争から抜け出すきっかけを、日本政府に期待するのは難しいでしょう。
では日本において、どうすべきなのか。
やはり親自身が色々と考え、自分の考えや価値観を持つことが大前提でしょう。
- 自分や子供の幸せとは何なのか?
- 将来社会はどのように変化するのか? どのような人材が活躍でき幸せになれるのか?
- 人間として成長するとは? 自律するとは? どうやって実現するのか?
そして親の考えを子供に押し付けるのではなく、子供が考えるきかっけを作り、考える支援をすることが大切だと思います。
親に考えを与えられた子供は大人になってからも、自分で考えるのではなく誰かに答えを求め続け、受け身な人生を過ごすことになりやすいです。
子供が自律に向けて歩むステップ
私は勉強にしても、スポーツにしても、音楽やその他の芸術にしても、子供自身が決めて取り組むことが大切だと信じています。
もちろん勉強やスポーツ自体にも意味があるのですが、何よりもそれらを通して自律に向けたステップを進むことに意義があると考えています。
自律に向けたステップは、色々な考え方があります。
自律に対する理解にも、バラツキがあります。
私の考えを、『一分間パパ』という書籍を参考に整理してみました。
<自律に向けた行動サイクル>
①自分でやりたいことを決める (モチベーションや責任感も高まる)
②自分で決めた目標に向け、主体的に行動する
③行動の結果を振り返り(フィードバック)、自分を客観視する
(最初は親や教師など他者からのフィードバック。徐々に自ら行えるよう移行する。)
またこのサイクルを回すための土台として、『自らを尊ぶ心(自己肯定案)』と『自分で自分をコントロールする気持ち(自己規律)』を、形成していくことも必要です。
自律は幸せを実現する近道
『自律』という言葉に対する理解は、様々です。
私は、『自分で自分を客観的に評価し、自分を認められる状態』だと考えています。
つまりは、上記の自律に向けたステップを自ら回せる状態です。
アメリカの心理学者アブラハム・マズローは、『人は低次の欲求が満たされるごとに、1つ上の欲求を持つようになる』と言っています。
彼が定義した欲求を下位から見ていくと、生理的欲求から承認欲求(他者からの評価)までは、自分ではなく他人から与えられることによって満たされる欲求と捉えることができます。
一方承認欲求(自己の納得≒自己肯定感)から上は、自分にしか満たすことができない欲求と言えます。
自律している状態とは、自分の幸せ(欲求)を他者に依存している状態から、自分でコントロールできる状態に変わることとも言えます。
ただ自己満足(ジコマン)に陥ってしまわないように、自分で自分を客観的に評価(自己客観視)できる力が重要になります。
まずは自分自身が自律する。
そして自分の子供や部下が自律することを支援する。
自律は幸せへの近道と考えれば、楽しく前向きに取り組めそうな気がしませんか?