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「家庭」「職場」だけで、本当に足りてる?
ゴールデンウィークが明け、また日常が始まりました。毎日仕事や子育て、家事に追われる毎日が戻ってきていませんか?帰宅後も配偶者との会話や家族とのやりとりが続き、ふと気づくと『今日、利害や気遣いなしで“自分の考えを誰かと話す時間”ってあったっけ?』と思うことはありませんか?『家庭と職場』、この2つだけでは、人との関係性が固定されてしまいがちです。そして人との関係性が固定されると、知らず知らずのうちに思考や行動も固定化されてしまいます。
そんな日常から少し距離をとって、自分らしく過ごせる『第3の居場所』って魅力に感じませんか?それが、今回のテーマである『サードプレース』です。
サードプレースとは何か?
サードプレースとは『「家庭(ファーストプレース)』や『職場(セカンドプレース)』に次ぐ、第三の居場所のこと。カフェ、図書館、オンラインコミュニティ、地域のイベント、バー、読書会など。形式は様々ですが、共通するのは『肩書きや役割を脱ぎ捨てて、対等に関われる場所』であるという点です。そこには、上下関係も、義務感も、同調圧力もありません。だからこそ、自然体の自分として誰かと話すことができるのです。
サードプレースを提唱したレイ・オルデンバーグは、著書『サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」』で、以下のように述べています。
サードプレイスは知的討論の場としての役割も担っている。(略)
サードプレイス―― コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」 レイ・オルデンバーグ
哲学、地理学、都市開発、心理学、歴史などさまざまな話題が俎上に載せられる。(略)
サードプレイスの集まりでは、誰かの考えに「無理やりつきあわされる」ことはない。その輪に入れてもらえるかどうかは、本人の性格と、座を盛り上げる力しだいだ ー ただし、特定の考えにこだわらない。
お互い自分や相手の考えに固着せず、素直に考えたことを共有しあう。そのようなやり取りの中で、自分の考えが深まったり、新しい自分の考えに出会えることもある。それが、私たちが思っている以上に大きな意味を持つと感じています。
なぜ今、サードプレースが必要なのか?
とくにビジネスマンや子育て世帯にとってサードプレースは、心の余白をつくると同時に、自分の考えを深めたりアップデートするためになくてはならない存在です。
- 家庭では親、職場では上司。でも一人の「自分」は、どこで表現できるの?
- 育児中は子育ての話が中心になるけど、本当は自分が好きなテーマの話をしたい。
- 仕事では利害が絡み、家庭では共感が優先。では本音の対話はどこですればいいの?
こうした問いに応えてくれるのがサードプレースです。一見ただの雑談に見えても、そこには居心地の良さとともに、新しい気づきが詰まっています。
雑談が視野を広げる
たとえば、異業種の人との何気ない会話の中で、「あ、そういう考え方もあるのか」と視点が変わる瞬間があります。子育てやキャリアの悩みを話すうちに、自分がずっと抱えていた思い込みに気づくこともあります。雑談には『偶然の出会い』や『思考の揺さぶり』が潜んでいます。それは、学校や仕事だけでは得られない、貴重な学びの場でもあるのです。
私にとってのサードプレース
私にとってのサードプレースは、実はたくさんあります。
- 同世代との勉強会
- 仕事を通じて出会ったけれど、仕事を離れて日本の未来を熱く語り合える仲間たち
- 子供を介して知り合ったけど、子育てを超えた話ができるパパ友たち
年齢も職業も、国籍や出身もバラバラな人たちと、結論や目的を求めず語り合う時間。 なぜか終わったあと、視界がクリアになるような感覚が残るのです。誰かの意見に耳を傾け、自分の考えを発信し、そしてまた考え直す。そんな時間こそ、今の時代に必要な贅沢かもしれません。
サードプレースは、意外と身近にある
サードプレースは、もともと『場所』としての意味合いが強い言葉ですが、私は『空間』や『仲間』と捉え直しています。地域活動の一環として、図書館や市民会館などでのイベントもありますが、我々現役世代には近寄りがたい。それでも様々な人や団体が開催する勉強会や、仕事やプライベートを問わず出会った人達との食事会や飲み会。『ここでは素直でいられる』と思える場所や相手、それがあなたにとってのサードプレースなのです。
大切なのは、自分の地位やプライドを守るために話すのではなく、素直に自分の考えを話しても危険を感じることのない場所を持つこと。同級生や同期で集まるのもいいですが、ついつい見栄の張り合いで疲れたり、昔話に花が咲いただけで終わってしまいませんか。
サードプレースで自分と素直に向き合う時間が、心のバランスを保ち、家庭や職場での関係もより良くしてくれます。
サードプレースは、心と頭のトレーニング
忙しい毎日のなかで健全な成長を支えるのは、『考えを話す時間』と『他者の反応を聞いて考える時間』です。サードプレースは、日常を離れた場所だからこそ、本当の自分に向き合い考えを深める“心と頭のトレーニング”です。
本当の自分を見失いそうになっていませんか?
固定された日常に、少し疲れていませんか?
あなたにとって、『素直でいられる場所』はどこですか?そこから、日常が変わり始めるかもしれません。
皆さんの率直な考えを聞かせてもらえるのを、お待ちしています。