子育てと企業改革の共通点① 
~お・か・た・づ・け~

目次

子育てで直面するストレス

皆さんは子育てや家事に対して、ストレスを感じることはありますか?繊細な私は子供の『片付け』に対して、ストレスを感じてしまいます。

ネットで公表されていたアンケートを見ても、子供の片づけに対してストレスを感じている人は多いようです。

子どものお片付けに対しても7割の親がストレスを感じている!
「ストレスを強く感じる」「やや感じる」を合わせると 全体では76.4%、子どもの年齢別に見ても、 年齢に関わらず約7割が、子どものお片付けに対して「ストレスを感じている」と回答。特に小学生を持つ親は、「ストレスを感じている」と87.0%が回答した。

ノムコムwith Kidsアンケート: 子どものお片づけに関するアンケート結果発表

我が家には幼稚園児が二人(姉弟)いるので女児用と男児用のおもちゃがあり、遊び場にしているリビング隣の和室はおもちゃが散乱しています。そしておもちゃは容赦なく、リビングにも侵略してきます。

おもちゃ用の棚を準備して定位置を決めたり、夕食前に片づけるように決めたりしているのですが、なかなか上手くいきません。結局は怒りながら子供に片づけを迫るか、夜子供が寝た後に自分で片づけることもあります。

これではトップダウンで社員に威圧的に指示を出す経営者や、いつまでも自分で仕事をして部下を育てない管理者と同じで、指示待ちの子供になってしまうという危機感を持っています。

今回は私が関わっている企業変革(意識や行動改革)の考え方を使って、子供の片づけ習慣について考えます。

 

行動の変革に向けた5つのステップ

私の仕事は企業(社員や経営者)が今の問題ある行動を改め、目指す姿の実現を支援することです。社員や経営者自身に現状の問題を認識してもらい、解決に向けてどのように行動を変えていくかを一緒に考え、実現に向けて伴走(対話や支援)しています。

社員や経営者が行動を変えるまでには、5つのステップがあると考えています。

  1. 理解:今の状況や行動習慣に問題があることを、論理的に理解する(左脳で理解)
  2. 共感:変革により実現する姿に魅力を感じ、共感する(右脳で理解)
  3. 自分事:変革が必要であることを認識し、自分の役割や責任が明確になる
  4. 行動:実際に状況や行動習慣を変えるため、行動に移す
  5. 継続:行動を継続し、習慣化している
人が変革を受け入れる5つのステップ

企業変革を支援する場合、最初に改革の主体となる経営者や社員がどのステップにいるかを把握します。どこのステップに留まっているかで、取るべき対応方法が変わるのです。

企業変革を紹介しながら、子供への応用を考えます。

 

『1. 理解』するためには、理想と現状の比較が必要

現状に問題意識を持ち変革が必要であることを、頭で論理的に理解することから始まります。今の状態だけを知っている人が、問題意識を持つことはありません。まずは今よりも良い状態をイメージできるように、視野を広げることが大切です。

業界を問わず他社が行っている取り組みや業務の状況などを知ると、自分たちが進んでいるのか、遅れているのか比較できます。改善が強みのトヨタは、競合他社の徹底的なベンチマークをすることで自社の弱みを見つけ出します。目の前の仕事を愚直にこなすことも大切ですが、現状に疑問を持つことが変革には必要です。

子供の場合だと、以下のような対策を思いつきました。

  • きれいに片付いている友達の家をみせてもらい、どう感じたかを考えてもらう(他者との比較)
  • 親がきれいに片づけた状態を作り出し、片づけ前とどう違うか考えてもらう(理想との比較) 
  • おもちゃが散らかっている時に不都合が起きたら、その原因を考えてもらう
    (おもちゃが見つからないのはなんでかな? おもちゃを踏んで壊してしまったのはなんでかな?)

論理的な理解なのでビジネスマンや経営者には必須ですが、小さい子供に理詰めで問いかけても嫌われるだけという可能性もあるのでバランスが大切でしょう。

 

『2. 共感』するためには、ワクワク感を醸成しよう

変わる必要性を論理的に理解したら、次は変化後の状態になりたいという共感を生み出すことが必要です。人間は頭で理解しても、心が伴わないと動けないのです。

変革を進めるリーダーの本気度が大切です。リーダーが直接改革後の明るい将来像(ビジョン)を語り、自ら率先して変わる姿を見せるのです。また変化できなかった場合の暗い将来像を具体的に説明することで、変化しないことへの危機感を煽ることもできます。

子供の場合だと危機感を煽るよりも、ワクワク感を高めたいですね。

  • ネットや家具屋で収納方法を見ながら、子供と一緒に片づけ後の姿を考える
    (人形や電車は、家や車庫として片づける。レゴはかっこよく飾って見えるように収納 等)
  • 親が率先して楽しそうに片づけをする。また大人のモノは常に片づける(率先垂範)

 

『3. 自分事』にするには、自分の役割を明確に

変革の必要性に共感したら、それを自分が進めるのだと思えることが重要です。リーダーや他の人がやってくれればいいと思ってしまえば、行動には繋がりません。

企業変革では会社や組織全体の視点から話された内容を、自分の仕事にまで落とし込んで自分の役割や責任を自覚することが必要です。まず部長や課長が自部門の役割や責任に落とし込み、それを部下に共有するようにお願いしています。また自分の仕事に落とし込んだ内容を目標に設定してもらうことで自覚が高まり、定期的な振り返りを行う拠り所になります。

子供に応用する時には、自分の役割や責任という考え方も一緒に伝えたいですね。

  • 『あなたが人形のお母さん/お父さんなので、元の場所に戻してあげないとかわいそうね』、と話して自分の役割を認識してもらう
  • 新しいおもちゃを買う時に扱い方を考えてもらい、どのように片づけるかの約束をする

 

『4. 行動』に移すには、小さな変化から

変革の必要性に共感し自分が行動を起こさないといけないという自覚が生まれても、これまでの習慣を変えることは簡単ではありません。そのため最初は行動の変化を小さくして、行動に移しやすいようにすることが大切です。

組織全体での行動(変化)が必要な場合、上手くできているケースを共有し変化の機運を高めることも考えます。

子供は大人以上に自分の行動を律することが難しいので、最初は大人の伴走も必要でしょう。

  • 親と一緒に片付けをしながら、どのように片づけるのかを理解する
  • 親や兄弟と『お片付け競争』など、ゲーム要素を取り入れる
  • 子供が一人でも片づけられるように、ざっくりと分けて収納したり、収納対象の写真をはる

 

『5. 継続』するためには、定期的な振り返り

行動(変化)を起こせたとしても、それを継続し定着させるのにも大きな壁があります。目標を設定し定期的に振り返りを行うことが、習慣化に役立ちます。

振り返りについてはブログ『年末に振り返りの習慣を ~一年間の重みを取り戻そう~』で紹介したKPTのフレームを、クライアント企業にも勧めています。後から見返せることも重要なので、振り返りの記録を残せるibgノートもお勧めです。また振り返りのなかで小さな成果を見える化することで成功体験として認識してもらい、継続することへの動機付けに繋げます。

KPTのフレームで振り返りが記録できるibgノート

子供にも幼い時から振り返りをする習慣を、つけてもらいたいです。

  • 一日の終わりに片付けが出来たかを、カレンダーや手帳、シールを活用して記録してもらう
  • 週末に一緒に記録を振り返り、できた回数などを確認しながら次週の目標を立てる
  • 親から『部屋がきれいで、家族が気持ちよく過ごせたね。ありがとう。』などフィードバックをする

   

これまで単発的な視点で対応していたので、子供のお片付け習慣に繋げられていなかったのだと反省しました。大人も子供も行動の変化に向けて多くの壁がありますが、5つのステップを意識しながら今いるステップに応じた対応が重要です。

子育ても企業変革もなかなか終わりが見えませんが、楽しく継続していくことが大切ですね。