人も組織も変われる 
~WBC観戦を楽しんで考えたこと~

『にわか野球ファン』が大量発生した2週間

3月9日の中国戦から始まった熱い2週間の戦いが、3月22日お昼に終了を迎えました。私は野球への関心は高くないのですが、日本代表戦になると応援したくなります。テレビの視聴率が軒並み高かったことを見ても、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催されていた2週間弱は、私のような『にわか野球ファン』が日本全国に大量発生していたようです。

予選から準々決勝までは日本で行われていたので、時差もなくテレビで快適に試合を見ることが出来ました。また舞台をアメリカに移した準決勝のメキシコ戦は3月21日春分の日でお休みだったので、朝からじっくりと応援することが出来ました。準決勝も決勝も手に汗握る試合展開で、映画やドラマのように脚本があるのではというコメントも度々耳にしました。

試合展開や、選手一人一人の真剣な姿勢、勝った際に喜びを素直に表現する姿など、真剣勝負のスポーツの素晴らしさを改めて感じさせられました。またテレビの画面を通しても、選手たちの野球に対する真剣さや、仲間を思う気持ちなども感じ、試合を重ねる毎に引き込まれていきました。

 

古い風土からの転換に成功した侍ジャパン!?

野球に対して興味がない私なのに、何に興味を掻き立てたられたのか、よくわかりませんでした。それが優勝を決めた後に行われたチーム全員での記者会見を見ていて、興味を惹かれる要因に気付きました。その一つが、ダルビッシュ有選手への質疑応答です。

記者:優勝するために一番大切だと思い取り組んできたことは何でしょうか?
ダルビッシュ選手:優勝がどうこうというより、皆が明るく笑顔で野球をプレーして欲しい。そこだけ大事にしてきた。

記者:前回優勝した2009年のチームと比較して、2023年のチームとの違いは?
ダルビッシュ選手:フィールド外のところでも笑顔が溢れ、皆仲良く、チームとして一致団結している。(省略)

WBC侍ジャパン 優勝後のインタビュー会見より

また岡本和真選手も、『野球って、こんなに楽しかったんだなって、改めて思いました』というコメントをされていました。最近ではYouTubeやTwitterなどで、チームの舞台裏の様子も見ることができ、そこでも選手同士が先輩後輩の枠を超えた関係性を感じることが出来ました。伝統的な体育会系のイメージが強い野球ですが、ダルビッシュ選手や栗山監督などを中心にしたチームビルディングにより、古い風土から転換されたのだなと思いました。

以前ブログ『楽しむ覚悟 ~プロジェクト運営で大切にしていること~』で紹介した、ロコ・ソラーレの選手にも通じているようにも感じました。

 

野球だけで評価される日本、人間性から見られるアメリカ

WBCでの言動を通して、ダルビッシュ選手個人にも興味が沸きました。ネット上で色々と調べていると、往年の名選手高木豊さんのYouTubeチャンネルでダルビッシュ選手との対談ビデオを見つけました。

ダルビッシュ選手に対する私のイメージはプロ入り前後の頃なので、周りの人を寄せ付けなかったり、やんちゃな印象でした。そのような以前のイメージと、今回のWBCとの違いについて、対談ビデオを通して少し理解することが出来ました。ダルビッシュ選手は対談のなかで、自分が変わったきっかけとして、『アメリカの価値観』と『奥様や家族との関わり』を挙げられていました。

若い時は今考えてもすごく恥ずかしくなるような言動であったり、やっぱり向こう(アメリカ)へ行って、まず妻と出会って、で子ども達も一緒に育てながら(中略)、今の妻にもいろんなことを教えていただいているんですけど、そういうので段々自分が価値がある人間だって勘違いしていたのを、そうじゃないっていうのを理解してきたということで、いろんな自分の悪い部分が晴れていったというのはあります。(中略)

野球って本当に人生の一部なので、その前に人間であることが凄く大事だと思っているんです。だからどんだけ野球が凄くても偉そうにしてたりとか、家族を大事にしないっていう選手は尊敬されないですし、やっぱりまず人間性が先っていうところが僕は(アメリカに)いて感じますね。

ダルビッシュ選手との対談動画

奥様やアメリカという、自分とは異なる考え方や価値観を持つ人たちとの交流を通して、これまでの自分に対して自問自答を繰り返しながら、自分を客観的に見えることが出来たので変われたという話をされていました。プロのスポーツ選手は、その競技の第一人者であることは当然必要なのですが、それ以前に人格者であることが、これだけ多くの人を惹きつけることを可能にしているのだなと改めて感じました。

とても大切なことを言われているので、対談ビデオを通して直接ダルビッシュ選手から理解してもらえると、より素晴らしさが伝わるかと思います。

 

今回はWBCの試合をきっかけにダルビッシュ選手に興味を持ち、日本の野球チームの組織風土の変化や、ダルビッシュ選手個人(人)の変化について知ることができました。またブログには書けませんでしたが、栗山監督についても色々と興味深いことを感じました。

幅広いことに興味を持ち、一度興味を持ったら色々と調べてみると、新たな発見があり楽しいですね。