皆さんは幸せですか? 
~幸福は自分の気持ち次第!?~

『あなたは、幸せですか?』
急に聞かれると、戸惑ってしまう人も多いでしょう。

最近ウェルビーイング(Well-being)というテーマで、様々なメディアが『幸福』について取り上げています。
また社員が幸せであることが生産性や創造性にも繋がると注目され、ウェルビーイングを会社経営に取り込もうとする話も挙がっています。

目次

あなたの幸福度を確認しよう

幸福の定義は様々ですが、あなたの今の状態を捉える方法に『人生満足尺度』があります。
名前だけ見ると怪しさも感じますが、幸福学の父と言われる米イリノイ大学のエド・ディーナー氏が開発したもので、世界中で使われています。

回答したことのない人は良い機会ですので、設問に回答して幸福度を把握して下さい。
以前やったことがある人も、幸福度は常に変化しますのでもう一度やってみましょう。

<設問>
1. In most ways my life is close to my ideal.
(私の人生は、ほとんどの点において理想に近い)
2. The conditions of my life are excellent.
(私の人生はすばらしい状態だ)
3. I am satisfied with my life.
(私は自分の人生に満足している)
4. So far I have gotten the important things I want in life.
(これまで自分が求める大切なものは、手に入れてきた)
5. If I could live my life over, I would change almost nothing.
(もう一度人生をやり直すとしても、変えたいところがほとんどない)

<選択肢と得点>
・7点:Strongly agree (非常に当てはまる)
・6点:Agree (だいたい当てはまる)
・5点:Slightly agree (少し当てはまる)
・4点:Neither agree nor disagree (どちらとも言えない)
・3点:Slightly disagree (あまり当てはまらない)
・2点:Disagree (ほとんど当てはまらない)
・1点:Strongly disagree (全く当てはまらない)

※日本語は筆者による翻訳

Satisfaction with Life Scale , Diener et al.,1985

結果は如何だったでしょうか?

31点以上だと人生の満足度が非常に高く、ほとんどの面で上手く進んでいると感じている人だと言われています。
26-30点の人は大方満足しており、20-25点の人は平均的な満足度です。

『人生満足度尺度』は自分の感覚で回答しているだけで、納得感がない。
もっと客観的に自分の幸福度を知りたいと思われた方も、いるかもしれません。

私は自己の主観を数値化しているからこそ、幸福度の測定に適していると考えています。
客観的に自分の幸福度を図りたいと思った人は、自分の幸せについて再度考えることをお勧めします。

 

私が幸福について本気で考えたきっかけ

私が自分の幸福について本気で考えるきっかけとなったのが、慶応大学 前野隆司先生の講演でした。
知り合いに誘われた勉強会で前野先生が、『働き方改革と幸福学~社員と社会を幸せにする経営とは!?~』というテーマで話をされていました。

1時間ほどの講演でしたが、多くの学びと気づきを得ることができました。
特にその中で私の考え方に影響を与えたのが、以下の2つです。

  1. 地位財と非地位財のバランスが取れた幸福
  2. 幸せを得るための四つの因子

 

地位財と非地位財のバランスが取れた幸福

以前の私は『自分がどのくらい幸せなのか』を、つい周りと比較して捉えようとしていました。

  • 自分や会社の知名度はどれくらいか(社会的地位)
  • 自分の年収はTop何%くらいに入っているか(所得)
  • 自分が住んでいる部屋や所有物は、他人が羨むものか(物的財)

幸福学の用語では『地位財』と呼び、周囲との比較により満足を得るものの代表だと言われているそうです。
地位財は個人の進化や生存競争のためには重要なのですが、幸福感は長続きしないのです。

  • 高級時計を買って満足感を得ても、一か月もすれば興味は下がるか、別の高級時計を欲しくなっている自分がいました
  • 講演などを通して業界内である程度地位を高めても、自分よりもっと地位の高い人がいると、自分に自信が持てなくなることもありました

地位財とは逆に、他人との比較とは関係なく幸せが得られるものを『非地位財』と呼んでいます。
健康や社会への帰属意識、愛情、自由などが該当し、幸福感は長続きしやすいのです。

年収や地位、物などの地位財がすべて悪かというと、そうではないと思います。
ある程度の地位財を手に入れるために、周りと競争しながら一生懸命に勉強や仕事を頑張ることも必要でしょう。

お金がある程度ないと、健康に気を付けることも難しいです。
また自由であることも、他者を愛する余裕も、持ち辛くなります。

ただ地位財自体が人生の目的になってしまうと、常に周りと比較して自分の不足ばかりに目が行く状態に陥りやすくなります。

 

幸せを得るための四つの因子

前野先生は幸福に関するアンケートを実施し、結果を分析するなかで『幸せを得るための四つの因子』を定義されました。

1. 「やってみよう!」因子(自己実現と成長の因子)
 -私は有能である
 -私は社会の要請に応えている
 -私のこれまでの人生は、変化、学習、成長に満ちていた
 -今の自分は「本当になりたかった自分」である

2. 「ありがとう!」因子(つながりと感謝の因子)
 -人の喜ぶ顔が見たい
 -私を大切に思ってくれる人たちがいる
 -私は人生において感謝することがたくさんある
 -私は日々の生活において、他者に親切にし、手助けしたいと思っている

3. 「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)
 -私はものごとが思い通りに行くと思う
 -私は学校や仕事での失敗や不安な感情をあまり引きずらない
 -私は他者との近しい関係を維持することができる
 -自分は人生で多くのことを達成してきた

4. 「あなたらしく!」因子(独立とマイペースの因子)
 -私は自分のすることと他者がすることをあまり比較しない
 -私に何ができて何ができないかは外部の制約のせいではない
 -自分自身についての信念はあまり変化しない
 -テレビを見るときはあまり頻繁にチャンネルを切り替えない

幸せのメカニズム 前野隆司

どの因子も自分の捉え方次第で変えることができ、自分の考え方を変えることが幸せを掴む方法なのだと知りました。

 

私が幸福感を高めた3つのポイント

私自身の人生を振り返ってみて、自分の精神状態(幸福感)を安定させることができた転換のポイントは主に3つです。

  • 周りの目を気にして比較する状態から、自分らしさに素直になる
  • 短期的な物事や幸福の捉え方から、中長期的な捉え方
  • 地位財と非地位財の違いを意識し、非地位財に必要となる適切な地位財を求める考え方

人生100年時代なので、人生を通して幸せだったかの総括はまだまだ先になります。
それでも3つのポイントは、この先も重要な原則として持ち続けたいと思っています。

 

社員や子供の幸せを考えてみよう

幸福になれるかは、もちろん本人の責任です。
ただ経営者や部下を持つ管理職であれば、社員や部下に幸せになって欲しいはずです。
また親であればなおさら、子供の幸せを願っています。

目に見えやすい地位財中心の幸福を追い求めるような人生にならないように、職場や家庭での接し方やルールなどを見直してみることも大切だと思います。
またそのためには、まずあなた自身の幸福に対する考え方を明確にすることが必要です。

仕事を頑張った結果が地位財ばかりでは、社員が幸せを感じ職場に魅力を感じることは難しくなるはずです。

 

一人一人が自分の幸せを考えられるようになると、本当の意味で持続可能で幸せな社会が実現できると信じています。