自分らしくとは? 
~ドラえもんの映画を観て考えたこと~

目次

好きだったアニメは何ですか?

皆さんが子供の頃に好きだったアニメは何でしょうか?私も妻も『ドラえもん』が好きで、猫に『ドラ』と『えもん』と名付けました。

右が『ドラ』、左が『えもん』。二匹あわせて『ドラえもん』

小学生の頃は毎年春休みに公開されるドラえもんの映画が楽しみで、母親に連れて行ってもらいました。今でも印象に残っているのが、1993年に公開された『のび太のブリキの迷宮(ラビリンス)』です。映画では『カプセル(電動車いす)に入らないと動けない人間』や『ロボットに支配された社会』などが描かれており、子供ながらにロボットやテクノロジーに過度に依存する恐ろしさを感じました。30年前の映画ですがロボットに仕事を取られるという記事や、2045年のシンギュラリティ問題など、現在の我々が抱える問題とも繋がります。

最近子供たちもドラえもんにはまってくれたので、今年の三月に公開された映画『のび太と空の理想郷(ユートピア)』を家族で見てきました。子供たちも色々と感じたようで、後半からは終始号泣でした。子供の感受性は豊かだなと、改めて感じました。

そんなドラえもんの映画を観て感じたことを、書きたいと思います。
※ストーリーの紹介も含まれるので、ネタバレなどが嫌な方は映画を観られてからブログに目を通してください。

 

映画のあらすじ

映画の公式ホームページから、映画の紹介文を引用します。

空に謎の三日月型の島を見みつけたのび太は「あれこそ僕が探さがしていたユートピアだ!」と言い張り、ドラえもんたちと一緒にひみつ道具の飛行船『タイムツェッペリン』で、その島を探しに出でかけることに!色々な時代・場所を探してやっと見つけたその正体は、誰もがパーフェクトになれる夢のような楽園<パラダピア>だった!そしてそこで出会ったのは、何もかも完璧なパーフェクトネコ型ロボット・ソーニャ。すっかり仲良くなったドラえもんたちとソーニャだったが、どうやらこの楽園には大きな秘密が隠されているようで・・・。はたしてのび太たちは、その楽園の謎なぞを解き明かすことができるのか!?映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)HPより 

映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)HPより 

勉強もスポーツも苦手なのび太が、何でもできるパーフェクト小学生を夢見て探した理想郷。そこで過ごすことにより友達(しずか、ジャイアン、スネ夫)は、スポーツや勉強ができるようになり、また性格も良くなる。それと引き換えに、どんどん『自分らしさ(個性)』を失っていく。そんな姿に違和感を覚えるのび太。完璧な人間を目指すというスローガンのもと、実際には黒幕の言うことを聞く人間に洗脳するための計画であることを知り、黒幕を倒すためにのび太が立ち上がる物語でした。

 

誰にとってのパーフェクト(完璧)?

映画のなかで、『完璧じゃなくていい』、『ありのままでいい』という言葉が出てきました。確かに黒幕や支配者などが求める姿に対してパーフェクトになることは、他者に操られることを意味し、自分で考えない人間になります。『自分』を失うくらいなら、ありのままの自分や他者を受け入れることが大切であると、観客に伝えているのでしょう。

映画の脚本を担当された吉沢良太氏も、インタビュー記事のなかで以下の発言をされています。

今の子どもたちは本当にちゃんとしていて、行儀がよくて。でももっとめちゃくちゃでも、それを受け入れる寛容さが世の中にあってもいいんじゃないかと思うんです。子どもは大人の言うことなんかきかないのが当たり前だし、自分がやりたいことはやりたい、やりたくないことはやりたくないのが正しいのではないかなと。のび太とドラえもんを通じ、そういうことを託したかった。
パラダピアで描いていることって今、現実にそうなっているんじゃないかという気持ちもあって。それがこの映画から伝わればいいなと思います、子どもにも、そして大人にも。

古沢良太さんが選んだ1冊は?(ダ・ヴィンチWebより)

子育てをしているとついつい自分の思うように子供に動いてほしいと思い、子供たちと対峙している自分がいます。そして自分の言うことを聞いてくれると、『いい子だね』と言ってしまうことがあります。自分で考えて、自分がやってみたいと思うことを選択しながら人生を歩んで欲しいという希望とは矛盾する言動に反省の連日です。そんな自分を客観的に捉えることが出来る映画でもありました。

 

自分の理想を改めて考える時間を取ろう 

本来は一人一人が自分でどうなりたいのかを考えて、自分で描いた理想に近づくために様々なことに挑戦する。親や先生などの視点からの完璧ではなく、自分が心からなりたいと考えた目標に対して完璧を目指すことが、幸せに繋がるパーフェクトなのだと思います。

ありのままの自分を受け入れるということは、今の状態に留まればいいということではない。自分の理想に向けて成長をするために、一日一日を精一杯生きるということなのでしょう。

日々の忙しさや悩みから離れ、童心に帰って、自分の理想を考える。そんな人生の棚卸をするきっかけ作りに、まずはドラえもんを観に映画館を訪れてみるのはいかがでしょうか。