オリンピック選手の姿勢から学んだこと 
~ライバルと共に日々努力~

TOKYO2020オリンピックを終えて

1964年以来2度目となる夏季五輪の東京開催が決まったのは、2013年9月でした。
招致アンバサダーだった滝川クリステルさんのプレゼンテーションで紹介された『お・も・て・な・し』も、当時流行りました。

滝川クリステルさんのプレゼンテーション IOC総会(2013/09/08)

『TOKYO2020』が決まってからの8年。
エンブレム盗用疑惑や新国立競技場建築費用問題など、色々な問題を抱えながらの8年でした。

新型コロナの影響により、史上初の1年延期。
そのうえ直前になって無観客が決まり、自宅からテレビでの観戦を余儀なくされました。

またオリンピックが大切にするの価値観の一つである『Respect(敬意・尊重)』に反する言動を理由に、複数の関係者による退任劇も繰り広げられていました。

開催自体への批判もヒートアップし、その批判の矛先は参加する選手たちにまで向けられてしまいました。

そんな問題ばかりのオリンピックでしたが、、、
子供たちの夏休み期間であり、またステイホームが求められていたので、自宅で子供たちと色々とテレビ観戦しました。

テレビを通して選手たちの活躍を見ながら、色々と大切なことに気づく機会になりました。

 

ライバルは蹴落とす競争相手ではなく、共に高め合う仲間

直接戦うサッカーや柔道のような競技だけでなく、個人毎に演技をする体操やスケートボードも、お互いのスコアで順位が決まります。
そう考えると一つでも上の順位に、そしてメダルを獲得するためにも、自分が最大限のパフォーマンスをするだけでなく、他の選手の失敗を期待してしまうのではと思ってしまいます。

ただ色々な競技での物語を見ながら、改めて真のアスリートはライバルの位置づけが違うことを感じました。

 

オリンピック “ライバルだけど敵じゃない”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210807/k10013187351000.html

新競技であるスポーツクライミング。
日本人選手が銀メダルと銅メダルを獲得して注目されましたが、これから競技する選手同士で攻略方法を相談し合う姿にも注目が集まりました。

 

メダルを逃した後に待っていたものは
https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/content/253315e3-0dc6-4b2e-a400-883cd50d2c1d/

同じく新競技として行われたスケートボード。
男子は、ストリートで堀米雄斗選手が金メダル。
女子は、ストリートで西矢椛選手が13才で金メダル。中山楓奈選手が銅メダル。
パークでは四十住さくら選手が金メダル。開心那選手が銀メダルで最年少日本人メダリストに。

若い日本人選手たちの活躍を見ていても、既におじさんとなってしまった私は興奮しました。
ただそれ以上に、若い選手が競技を楽しむなかでお互いが支え合いながら自己の高みを目指している姿に胸を打たれました。
岡本碧優選手が最後のパフォーマンスで失敗した際に、さっと周りの選手仲間が駆け寄って健闘を称える姿に目頭が熱くなった人も少なくないでしょう。

若者の問題が度々取り上げられていますが、こういった価値観や行動が増えてくると日本もよくなるはずです。

PKまでもつれたサッカー男子準々決勝のニュージーランド戦を見ていて、つい相手選手が外すことを期待してしまった自分に猛省でした。
妻には、『相手選手の失敗を期待するのではなく、谷選手(キーパー)の活躍を期待すればいいのよ!』と諭されました。

 

他人や環境を言い訳にしない姿勢

期待した成果を得られた選手がいる一方で、様々な要因によりオリンピックという舞台で期待した結果が得られなかった選手もいました。

充分に自分の力を発揮できずに終わった後のインタビューでは、今回の結果が自分の実力である旨のコメントばかりで、環境などの言い訳をする選手は皆無でした。

新型コロナの影響による一年延期。
またその期間中、充分に練習や試合を行うことができなかった。
大会期間中も行動/練習の制限や、試合時間の直前での変更等。

挙げようと思えばいくつもありそうですが、今ある環境のなかで最大限の力が発揮できるように自分と向き合っている選手の価値観を感じました。

 

今自分が置かれた環境には、自分で責任を負う

選手たちの価値観を見ていて、『ここがロドスだ、ここで跳べ』を思い出しました。
この言葉を聞いて、ヘーゲルやマルクスが思い浮かんだ方は博学ですね。
AKB48が思い浮かんだ方は、若いですね。(興味の幅が広い!?)

この言葉をアルバムタイトルにしているAKB48のCDに、同志社大学村田先生の解説がありましたので引用します。

【ここがロドスだ、ここで跳べ!】
イソップ寓話『ほら吹き男』の中で、「自分はロードスと言う島で開かれた陸上競技の大会で、走り幅跳びのすばらしい記録を挙げた。もしロードス島に行く機会があれば、誰でも知っているから、ぜひ聞いてみるがいい」とある男が自慢していた。すると、その話を聞いた別の男が、「ここがロードスだ、ここで跳べ」と求めた。そのため、ほら吹き男はすっかり困ってしまったという。つまり、「論より証拠」である。また、「今いる場所でベストを尽くせ」、「今ここにある現実に、全力で向かい合え」と言う意味で、環境に責任転嫁しないで自助努力を求める格言でもある。 村田晃嗣(同志社大学長)

AKB48 6TH ALBUMより

 

また村田先生は学長時代、入学式の式辞でこの言葉を新入生に送られています。

実は皆さんが、どういう経緯で同志社に来られたのかということよりも、もっと大事なことが二つあるように思うのです。その一つは、理由の如何にかかわらず、皆さんは最終的には自分の責任でここへやってきたということです。大学の進路選択という人生の大事業を終えた今、世間の評判や偏差値に責任を帰することはできません。最終的に責任は、自分にあるのです。(中略)

同志社大学は皆さんが選ばれたロードス島です。ここで飛べない人間が、別の島に行って大きく飛べるとは、私にはとても思えません。自らが選んだロードス島という自覚をもって、この島で大きく飛んでいただきたいというのが私のお願いです。

同志社大学キリスト教文化センター チャペルアワー奨励集

  • 希望した学校(大学)ではない
  • 希望した就職先(会社)や仕事内容ではない
  • 先生や上司と合わない        等

現実と向き合わず努力しない言い訳は、至る所で見つけることができます。
ただ環境や他者を言い訳にしていても、自分の幸せは絶対に来ないと言えます。

残念ながら世の中には、生まれながらして運不運があります。
宿命として、変えられないものもあるでしょう。

ただそれらを一旦受け入れたうえで、自分に何ができるのか考えて前向きに進むことが大切です。

オリンピックは政治的な面や商業的な面も強く、色々な問題を抱えているのは事実でしょう。
ただ純粋に選手たちから、学べることもたくさんあったのではないでしょうか。